もぐもぐビジネス

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商材の原則

しょぼい起業で生きていく | えらいてんちょう |本 | 通販 | Amazon

 この本をざっと読んだ。新規の商品開発や起業は難しい。すこぶる難しい。しかし、ここで述べられている事柄に、一辺の本質があると思うのでそこを書いてみる。

 ここで述べられている商材の開発は次の点に尽きる。

  1. 自分が必要とするものを作る
  2. それを多めに作る
  3. 余ったものを売る

 非常にシンプルであるが強力である。その訳は、自分という明確なニーズに根ざした商品開発であるため、マーケットリサーチなどを不要とできる点にある。ベンチャー企業などで開発される多くの商品が、作ったあとでそもそもニーズがないという憂き目にあい倒産することを考えると、このメソッドは非常に示唆に富む。

 特に重要な点は1である。なぜならば、例えば趣味でモノづくりをする場合、作ることが楽しいので、自分でさえも必要としないものを作ってしまうことが多々あるためである。さらに、買えば済むものを自分で作るという場合にも問題がある。新しい商品を作りたいという気持ちが先行すると、この点が疎かになってしまうのだ。しかし、世の中は広く、合理的でもないので、案外、似たような商品が世の中にあったとしても売れるのかもしれないが、このことは私が自身のプロジェクトで検証してゆきたいと思う。

IoT回線事業に関する雑記

www.sonynetworksmartplatform.co.jp

IoTは大手が回線を提供しようとしている節がある。上はSONYの提供で、他にもさくらなども提供している。これは事業者にとっては非常に魅力的でIoTデバイスは24時間365日稼働するもので、そこにデバイスごとの月額課金を行うというのは非常に儲かるように思える。

けれども、この事業の方程式を成り立たせるためには次の諸条件が揃わなければいけない。

第一にIoTの4G回線は非常に便利に思えるが、IoTデバイスには電力が必要である。電力が必要な時、100Vの交流電源が引かれているなら当然インターネット回線も引かれている可能性は十分あり、Wifiルーターを設置することが合理的である。

第二に月額課金するということはそれ相応の生産性向上、例えば人員の削減に寄与するといったある程度の効果が認められなければならない。顧客のポケットに月額予算を追加するということは、顧客が他に支払っているものをやめさせるということだからだ。

第三に移動体や野外でこそこういった4G回線の効果は高まるが、一方でこういったシーンでは第一で述べたように電力の確保が難しい。

こういったことからIoT回線事業はなかなかに難しいところがあるとわかり、また大手の事業者はよくこういったところに挑戦しているものだと頭が下がる思いである。

 

顧客のニーズとQ&Aサイト

小さな会社が大きく伸びる55の最強ビジネスモデル | 藤村 しゅん | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon

を読んでいる。そこでQ&Aサイトを閲覧して顧客のニーズを探る話があったのでまとめておきたい。

 新商品開発をして、新しい商品またはサービスを世に送り出すということはなんらかの未解決な問題を解決することだろうと思われる。もちろん、問題設定がされていなくても結果的に顧客の問題や悩みが解決されていればよく、またリリースする課程で最初に想定していたものとは全く異なる顧客のニーズが明らかになることもある。

 一方、商品開発やビジネスを構築することは相当の根気と費用を必要とするため、もしうまくいかなかった場合、助けてくれたたくさんの人達に大きな迷惑をかけることになる。そのため、顧客のニーズを掴むことは非常に重要である。

 しかし、顧客のニーズを掴むことは難しい。その理由は顧客は製品や技術の専門家ではないため、顧客が自分自身がどういうものを欲しいと思っているのかをはっきりとは認識できないところにある。このため、マーケティングにおいても顧客の声をよく聞くべき派と聞いても意味がない派に分かれる。

 この矛盾した状況を解決するために必要なことは裏をとることだろうと思われる。顧客にあるニーズがあると考えた時、それが机上の空論で、自分の脳みそが適当に思いついたアイデアであるのか、それとも実際の現実を反映した問題を取り扱っているのかをシビアに検証する必要がある。

 先にあげた本の中で、Q&Aサイトを利用して顧客のニーズを吸い上げるというカップラーメン事業の話があったが、これはおそらく現代の新商品、事業立ち上げにおいてかなり広範囲に利用できると思われる。その方法は、リリースしようとしている商品が解決する問題がQ&Aサイトで取り扱われているかどうかという点を調べることである。勿論、取り扱われていないからといってニーズがないとは言えないが、顧客が本当に困っていて、自社での開発力も十分にもたない場合には、こういったQ&Aサイトにどうすればよいか、という質問があがってきてしかるべきである。そして、実際に顧客が困っている事柄と自社が想定している事柄に差異がないかどうか、またどうのようなサービスを提供すればこういった問題を新商品やサービスで解決できるのかという指針を作ることができる。

 一方、このQ&Aサイトでチェックできないのは顧客の懐事情である。顧客は問題を抱えていて解決したいと思っていても、商品の価格に対してそこまでの費用はかけられないというケースが大いにある。したがって、この顧客の懐事情についてはまた別の形で検証を行う必要があると思われる。

松竹梅モデル

 松竹梅モデルは、ホテルなどでサービスの段階をラインナップするビジネスモデルである。自動車のラインナップでも同じクルマでも安いグレードから高級グレードがラインナップされている。どのような時にこれを用いるのが効果的なのだろうか。

 松竹梅を用意するためには、それぞれ三種類のラインナップを用意しなければならず、商品の数だけ開発コスト、仕入れコスト、提供コストがかかってくる。これと対照的であったと思われるのはT型フォードのビジネスモデルで、黒で単一車種のみを徹底的に合理化することで圧倒的な低価格を実現した。ここには生産ラインの革新的な取り組みが含まれる。一方、現代ではこのような単一車種を提供する自動車メーカーというのはほとんどないと思われ、むしろトヨタのように様々なラインナップを提供するメーカーが市場シェアを獲得している。

 一体なぜであろうか。一つの仮説は、自動車とはユーザーが外に持ち出す持ち物であり、工業機械でありながらファッション的な性質を持つものであったことだろう。私達は、友人と同じ服を着たいとは思わず、カップルのペアルックのような場合でのみ同じ服を選択する。このことは一人一人の人格が異なり、またそのため、ファッションも一人一人違うものでなければ、感覚に違和感を生じてしまうと考えられる。

 学校や軍隊など、これらの個性を廃したコミュニティではこのようなことはないが、外の社会ではその人となりができるだけひと目で分かるようにすることには社会的な価値がある。相手が金持ちであるか貧乏であるかセンスがあるかないかあるいは精神が子供か大人かまでをファッションはある程度明らかにする社会の潤滑油的価値を持っている。

 さて話が逸れた。

 ここでビジネス提供者側において重要だと思われることは、心を静めてこのような購買時の顧客の心理を思い出すことである。もし自分がその立場だったら、どのように商品を選択するか、静かに、努めて静かに心の中に入っていき、その上で仮に松竹梅をラインナップした時とそうでない時にどのような心の動きが生じてくるか、その僅かな心の機敏を取り出すことであるように思われる。このような心の機敏はみんなが持っているにも関わらず通常は当たり前すぎて思考には引っかからない。静かにゆっくり考えて自社の商品が松竹梅を提供した時、もし自分が顧客だったらどうするか考えて見る必要があるように思われる。