もぐもぐビジネス

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松竹梅モデル

 松竹梅モデルは、ホテルなどでサービスの段階をラインナップするビジネスモデルである。自動車のラインナップでも同じクルマでも安いグレードから高級グレードがラインナップされている。どのような時にこれを用いるのが効果的なのだろうか。

 松竹梅を用意するためには、それぞれ三種類のラインナップを用意しなければならず、商品の数だけ開発コスト、仕入れコスト、提供コストがかかってくる。これと対照的であったと思われるのはT型フォードのビジネスモデルで、黒で単一車種のみを徹底的に合理化することで圧倒的な低価格を実現した。ここには生産ラインの革新的な取り組みが含まれる。一方、現代ではこのような単一車種を提供する自動車メーカーというのはほとんどないと思われ、むしろトヨタのように様々なラインナップを提供するメーカーが市場シェアを獲得している。

 一体なぜであろうか。一つの仮説は、自動車とはユーザーが外に持ち出す持ち物であり、工業機械でありながらファッション的な性質を持つものであったことだろう。私達は、友人と同じ服を着たいとは思わず、カップルのペアルックのような場合でのみ同じ服を選択する。このことは一人一人の人格が異なり、またそのため、ファッションも一人一人違うものでなければ、感覚に違和感を生じてしまうと考えられる。

 学校や軍隊など、これらの個性を廃したコミュニティではこのようなことはないが、外の社会ではその人となりができるだけひと目で分かるようにすることには社会的な価値がある。相手が金持ちであるか貧乏であるかセンスがあるかないかあるいは精神が子供か大人かまでをファッションはある程度明らかにする社会の潤滑油的価値を持っている。

 さて話が逸れた。

 ここでビジネス提供者側において重要だと思われることは、心を静めてこのような購買時の顧客の心理を思い出すことである。もし自分がその立場だったら、どのように商品を選択するか、静かに、努めて静かに心の中に入っていき、その上で仮に松竹梅をラインナップした時とそうでない時にどのような心の動きが生じてくるか、その僅かな心の機敏を取り出すことであるように思われる。このような心の機敏はみんなが持っているにも関わらず通常は当たり前すぎて思考には引っかからない。静かにゆっくり考えて自社の商品が松竹梅を提供した時、もし自分が顧客だったらどうするか考えて見る必要があるように思われる。